大川小学校は、昨年から震災遺構として周辺及び管理棟の整備が進められてきましたが、工事が完了し、7月18日から一般公開が始まります。かつて町があって、そしてガレキに埋もれた場所はきれいな芝生になりました。
すっかり変わってしまったと残念がる声がある一方で、きれいになったのでようやく来られたという人もいます。この場所で何をどう伝えるかはそう簡単なことではありません。
案内板や管理棟内に解説はありますが、すべて書いてあるわけではありません。どれだけ大 きなスペースを作っても同じかもしれません。ここで起きたことをしっかり受けとめ、解説できる人はまだ誰もいないでしょう。
今までもいろいろなコメントや報道がありましたが、必ず賛否両方の意見が出ます。意図しない形で伝わってしまうこともありました。どのメディアも有識者も「難しい」と言います。今回の管理棟内の展示内容もそうです。
前例のない大きな悲しみにどう向き合えばいいのか誰もが戸惑います。あるいは批判を恐れ腰が引けてしまい、大切だと分かっていながら、つい後回し、他人任せになります。検証委員会も途中で投げ出しました。今回の震災遺構の整備にあたっても、いわゆるソフト面の検討がなかなか始まりませんでした。伝承の意義や内容を詰めないまま工事をしていたのです。本来は逆であるべきです。
大川小のことに限らず、私たちの周りにはそういう事例が少なくありません。「難しいからやらない」と避けるのではなく「大切なことは難しくてもやる」のです。今までできなかったのであれば、これからやれば
いいのです。批判も含め、いろいろな意見が出るのはむしろ自然なことです。アップデートしていけばいいのです。18日はその始まりです。
また、今回の工事は周辺と管理棟の整備です。校舎は手つかずのままです。ありのままを遺すためにも、補強やメンテナンスが必要な状況です。肝心の校舎が朽ち果ててはいけません。
市は会見等で、その対応をしていくことを明言していますので、やがて動きがあると思います。こちらも注視していきます。