伝えたいこと、知りたいこと~福島視察レポート

2021125日、みんなで福島に行きました。

昨年の岩手に続いての企画です。

原子力災害伝承館(双葉町)
原発事故を伝える施設や場所は多くあり、迷ったのですが、最初はやはりここにしました。

伝承館へ向かうバスの窓から見える街の様子は、あの日起きたことと、10年の月日を物語っています。この風景と無関係な人はいません。
以前から交流のあった伝承館職員の平本さんが、非番の日にも関わらず駆けつけて、案内してくださいました。感謝。

プロローグは巨大スクリーンの動画。災害の概要と伝承のコンセプトを伝えます。
ナレーションは西田敏行さん。
事故の発生、その影響、人々の想いなど、いくつかのブースがあり、映像や照明など技術を駆使した展示に感心しました。お金もかけたんだろうなぁ。

補充資料
それでも「もっともっと伝えるべきことがある」という声は少な
くありません。
昨年9月の開館以降も、いくつか資料が追加される等、展示内容が更新されています。
内外の声を反映させながらアップデートを続けていくそうです。


ワークショップスペースでは「語り部口演」がありました。この日の担当は月イチのペースで原発事故のこと語っている方。終盤、大川小学校の事故についてふれてくださいました。もちろん、目の前で大川伝承の会のメンバーが聞いていることは知らずに、です。巡り合わせとは不思議ですね。終了後、交流することができました。
今年の2、3月に新聞社が企画した震災の写真展の評判が良く、そのうち数十点が現在もギャラリーに展示されています。壊された風景、復興の様子、想い出の品、祈る人々・・・。
大川小に関わる写真が4点ありました。
◆請戸小学校(浪江町)   
10月24日に公開が始まった請戸小学校。
順路が示されています。校舎の中にも入れました。津波の威力とともに、学校生活の様子、そして、あの日の避難行動が順を追って展示されていました。写真、イラスト、端的な言葉の案内板。歩きながらあの日の緊迫した様子が伝わってきます。

難しい用語は一切なく、分かりやすく伝えようという工夫がうかがえます。そのためには「何を伝えるのか」が必要です。今回、福島で感じたことは、それにプラスして「どれだけ伝えたいのか」の重要性です。
「伝えるべきこと」は「あまり伝えたくないこと」だったりします。
「伝えたいこと」は「知りたいこと」とは違っていたりします。
そこが曖昧なままでは、伝わり、響き合うことはできません。
石巻市の震災遺構として公開が始まって5ヶ月になる大川小学校の伝承も今後アップデートしていくことになっています。大いに考えさせられた一日になりました。

請戸小は校舎内も見学できます。範囲を限定し、ネットやフェンス等を使い、安全に入ることができます。現在、大川小学校は校舎内に入れないことになっていますが、部分的にでも入れるように検討すべきだと思います。
平本さんは、請戸にも同行してくださいました(休みだったので動きやすかったとも言えます(^^))。あの日子どもたちが避難した大平山を案内いただき、浪江町の慰霊碑に手を合わせました。大平山は学校から直線距離で約1.5kmです。    

また、浪江、南相馬の新しい道の駅にも立ち寄り、名産品やグルメもしっかり楽んできました(これも立派な視察)。平本さんはじめ福島の皆様、南三陸バスさん、お世話になりました。ありがとうございます。