◆南三陸
秋晴れの10月30日、大川伝承の会の研修視察がありました。一昨年の岩手、昨年の福島に続いて、今年は南三陸・気仙沼です。
南三陸はこの10月1日に、震災伝承館「南三陸311メモリアル」がオープン。さんさん商店街、復興祈念公園と隣接していることもあり、多くの人が訪れています。
伝承館でのラーニングプログラムの後、南三陸町震災復興祈念公園をガイドしていただきました。
館内もそうですが、追悼とともにあの日の事実や教訓を伝える工夫が至る所に見られ、南三陸の方々の想いが伝わってきます。たいへん参考になりました。
これからは世代や地域を越えた伝承が、より求められます。
何のために、何を遺し、どう伝えるか「コンセプト」が重要です。
そこを省略するとチグハグな伝承になります。
順序、向き、空間、そして言葉。一つ一つに意味を持たせ、こだわることで、より届き、響き合える。
伝承が「響く」ものになっているかどうか。いつも確かめなければ。
何のために、何を遺し、どう伝えるか「コンセプト」が重要です。
そこを省略するとチグハグな伝承になります。
順序、向き、空間、そして言葉。一つ一つに意味を持たせ、こだわることで、より届き、響き合える。
伝承が「響く」ものになっているかどうか。いつも確かめなければ。
◆気仙沼
命のらせん階段は、近くに高台のない地区の避難にと、震災の5年前に故阿部泰兒氏(阿部長商店創業者 *「泰」は旧字)が自宅に設置した階段です。
あの日30人近くの命を救いました。
3月11日、人間は大津波を前に何もできませんでした。
でも、このらせん階段は無力ではありませんでした。
平時の備えがいかに重要か、このらせん階段は一目で伝えてくれます。
防災は未来を見据え、平時に蒔く種です。
未来を変えます。
運動公園の建設のため、立ち退くこと(解体)を迫られましたが、
震災遺構としての価値を考え、そして、階段を作った阿部会長の想いを未来へ遺すために、
解体せずに持ち上げる「曳家(ひきや)工事」で85m移動したのです。
この大プロジェクトで、壊されなかったのは建物だけではありませんね。
85mどころじゃない、未来までずっと私たちを曳いていくはずです。
南三陸を案内してくれた千葉さんは24歳の若き語り部です。
震災当時は南三陸の小学生でした。
そして、気仙沼では76歳の宝田さん。
阿部会長との思い出や気仙沼の歴史も交えてお話しいただきました。
脚本の安達奈緒子さんはじめスタッフの皆さんは、丁寧に宮城県(石巻も)を取材されました。
沿岸部の多くの人にとっては、少なからず自らの日々を重ね合わせたドラマです。
震災時に限りません。すべての人生には物語があります。
誰もが主役で、視聴者で。