こっち、こっち

学校のそばに何十人もの子どもの遺体が並べられた事故は前例がありません。4名の児童の捜索は今も続いています。 

あれからまもなく8年9カ月という12月1日。守れたはずの子どもの命を守れなかったこと、十分な事後対応ができなかったことの謝罪があり、今後は遺族・市教委の垣根を越えて、詳細に検証を続けることが確認されました。 

「はぐらかさない」「ごまかさない」「途中でやめない」 この間、検証報告、震災遺構としての保存の議論・決定、訴訟、判決確定様々な経緯がありましたが、ようやくこの地点に立つことができました。

報告の場所はここではないだろうということで、 終了後、大川小学校へ向かい、市長・副市長・教育長・県教育長、市教委、県教委関係者が子どもたち、先生方に手を合わせました。 その後、校舎内外を案内しました。「市長さん、やっと来てくれた。こっちが教室だよ」「教育長さん、このホールで歌ったんだよ」「ほら、ここまで津波が」、いつの間にか、子どもたちが集まってきて手を引いてくれている感覚になりました。

「こっち、こっちだよ」

前日もボランティアの皆さんが清掃にきました。花も植えられています。ガレキに埋もれたあの日から、たくさんの方々の手によって学校はいつもきれいです。子どもたちはそれも伝えてほしいようでした。8年半前にこの場所で、今日のような話ができたら、どうなっていたかなぁと考えました。「なぜできなかったのか」についても検証し、未来につなげたいと思います。 

「子ども」を真ん中にすれば、自ずと歩み寄れるのではないでしょうか。子どもの顔が思い浮かぶかどうか、子どもに聞かせられるかどうか、そんな基準の話し合いをしていきたいと考えています。 

今回の報道などを見るともう話し合いが始まったかのようにも見えますが、まだ始まったわけではありません。そう簡単にいくはずがありません。

でも方向性は見えてきました。こっちです。