伝える先に

いつも心を寄せていただき、ありがとうございます。 
大川小学校は2021年7月より石巻市の震災遺構となり、公共交通機関もない中、県内外から多くの皆さんが足を運ぶ「慰霊・学び」の場所となっています。そして、石巻市では新年度予算に遺構の整備費が計上されることとなりました。石巻市長はじめ関係の皆様のご尽力に感謝申し上げます。
  
3.11の伝承は様々な形で展開していますが、各地で「伝える先」に何を見据えているのかが問われています。   
震災伝承においては、助かった命より、救えなかった命からのアプローチは難しいと言われます。命が失われた場所がほとんど遺構として保存されていないことでも分かります。
震災遺構大川小学校の最大の特徴は、多くの児童・教員の犠牲という事実です。報道等でセンセーショナルな面が切り取られ大川小のイメージになります。悲しみ、恐怖・後悔・責任…、だから「伝えにくい」「曖昧にしたい」になり、これまで議論が十分尽くされませんでした。
教育委員会がやや消極的な点も残念です。伝承の会のガイドはもちろん、竹あかりや、おかえりプロジェクト、ジオラマ展示会等に、まず先生が「気軽に」参加し、やがて学校と連携する形が作れたらと考えています。
   
判決で問われたのは、意思決定が遅れ判断を誤った当日の校庭ではありません。判断ミスにつながった3.11の前の取組みです。
同じように備えが不十分だった学校は少なくありません。ただ「津波が来なかった」ので助かっただけです。けっして大川小が特別だったのではありません。
一方で、津波到達のはるか前に避難、あるいは津波が来ないのに避難した学校もたくさんあります。大川小より内陸の学校も逃げています。どちらであるべきかは明らかです。
  
子どもの命を守るために必要なのは、津波が迫りサイレンが鳴り響くパニックの中で正しい判断をすることではなく、パニックになる前に行動することです。「まさか」と思っても「念のために」避難する。「念のためのギア」をより早く高く入れることで、未来の多くの命を救えるはずです。
  
「悲しい」「かわいそう」のその先に、よりよい未来につながる意味を生み出せれば「伝えるべき」「伝えたい」内容に更新されていくはずです。そうした「意味づけ」をしていく経緯も伝えていきたいと考えています。