まちびらき花火大会  2016.1.19

12月24日、女川駅前の商店街オープンを祝う花火大会が行われ、2500発の大輪の花が冬の夜空に咲き乱れた。

花火は海にも映ってとてもきれいだった。
新しく出来た商店街の通りは人でいっぱい。
クリスマスソングをBGMに上がる花火もまたオツなものですな。

女川さいがいFMではこの実況中継を行い、私も参加させていただいた。
放送ブースが設置された復興まちづくり交流館のデッキからは、人々の表情が、花火に照らされてよく見えた。みんな笑顔で空を見上げていた。
町長は泣いていた。
さいがいFMが立ち上がったときのメンバーポヤさんも来ていた。
「ああ、ここに家があったんだ、津波が来て、なくなって、新しい女川ができて、そして、これからなんだよなって…」感無量な様子で、もうインタビューにならない。

昼間、役場の人にも会った。
「女川じゃないみたいでしょう?」と言ってプロムナードを案内してくれた。
「今日まで突っ走ってきましたからねぇ」としみじみ話した。
震災数日後に彼と会ったときを思い出した。憔悴というか鬼気迫るというかそんな表情だった。私もそうだったかもしれない。
役場の人達はほんとにかけずり回って町を守ってくれた。あれからどんな想いで今日まで来ただろう。別れ際に「まだまだですけどね」と話していた。
駅が出来て、店ができて、それでもまだまだ…。

復興は時間との闘いでもある。
特に、女川はかさ上げをしたり、山を削ったりという土地の確保が必要なので、まだまだこれからのことは少なくない。
だから、今夜の花火はいろんな意味がある。お祝い、鎮魂、そして復興への狼煙。

それでも、この花火が打ち上がっている間は、町がほんのひととき、立ち止まった気がした。ハーフタイムで一息ついて、みんなの顔を見渡して士気を高め、またグランドに飛び出すラガーマンの如く。
また明日からスクラム組んで突き進むのだ。

震災前、女川では毎年7月に港祭りが開催され、花火が打ち上がっていた。私も親子で見に来たものだ。
まだガレキに埋もれていた2011年の5月に、こんな句を詠んだ生徒がいた。
   あの波を こえて見るのは あの花火
1000年に一度の災害の後は、1000年に一度の町づくりだ。
女川じゃないみたいなおしゃれな店内からは、馴染みの笑顔が出てきた。
おしゃれだけどアットホーム、新しいけど懐かしい、シーパルピアはそんな商店街だ。

いろんな想いがめぐって、まともに実況できなかった。リスナーの皆さんごめんなさい。

2015.12.24女川復興まちびらき花火大会(女川さいがいFM)